中国ってどんな国? 中国には「潮が満ちれば、すべての船が浮かぶ」という言葉があるそうだ。「一帯一路構想」はそういう発想から出たのだろう。
♣エイナー・タンゲン:中国は帝国の誘惑に抗えるのか? 22.06.2026 ドイツ語で聞く ドイツ語で読む 日本語で読む https://www.youtube.com/watch?v=ECbLKGuGqMA
*【Search Assist: アイナー・タンゲン氏は、地政学や世界経済、とりわけ国際ガバナンスにおける中国の役割を専門とする米国のコメンテーター兼専門家です。2005年より北京を拠点に活動しており、太和智庫(Taihe Institute)のシニアフェローや、都市計画・経済戦略に関するコンサルタントなど、多岐にわたる役割を担ってきました。】(*以下、タンゲン氏の主張の要約)
中国の世界観は、欧米の植民地主義的な考え方とはまったく違う。植民地主義的な考え方では、他国に入り込んで奪い犯し略奪していながら、「『文明』と『神』を無神論者や未開の人々にもたらすためだ」とその行為を正当化しようとする。実際には、彼らが「文明化」しようとしていた国々のほうが、西洋の文明よりも何千年も古い文明を持っていたりするのだ。
米国の国家の設計図
1964年にはすでに、「アメリカの産業界の有力な家族たちは団結し、政府を掌握し、メディアを掌握し、大学を掌握し、シンクタンクを掌握して、実質的に寡頭制を築くべきだ」という内容の設計図を持っていた。
1992年のウォルフォウィッツドクトリンでは、「アメリカは常に頂点に立たなければならない、どんな国の反対も許さない、そして自分たちの意志を貫くためにはどんな手段も取る」、という、いわゆるアメリカ例外主義の考え方を打ち出した。目的を達成するためなら、どんな手段でも使うという姿勢だ。
1996年に出された似たようなメモには、「世界と協調しようとしたり、平和を交渉で得ようとしたりするのではなく、自分たちの価値観や平和、経済的利益を相手に押しつけるべきだ」、ということが(イスラエルに対する助言として)書かれていた。つまり、近隣諸国と平和交渉をする必要はない。支配するか、あるいは破壊するかの二者択一というものだ。
「西側諸国」では「自由で民主的な資本主義こそが最良の制度であり、唯一の答えだ、その考えを世界に広めなければ、世界は平和にならない」と考えられてきた。実際には、他国に物やサービスを持ち込み、その経済を支配し、ときには軍事力を背景にした外交で、あるいは政治的な干渉で、または金融ネットワークや資金の流れ、ドルの覇権を握る力そのもので、その国を支配してきた。
中国は世界をどう見ているか
中国は、「パイの取り分を奪い合うんじゃなくて、パイそのものを大きくしよう。世界全体のパイが大きくなれば、私たちはその製造の一端を担っているんだから、市場も自然と広がる」と考えている。人々が仕事を持てば、可処分所得が生まれ、お金に余裕ができれば、物を買うようになるという理由だ。(*Win Winがモットー)
中国の発展の三段階
1)輸出主導型の経済の時期➡2)インフラ(高速鉄道、空港、港、橋など、あらゆる分野での)整備を中心の時期➡3)高品質な発展を目指す時期
その先はどこへ向かうのか
成長と国家の強靭さを両立させる。成長が国の強さを支え、中国が他国に依存しないようにする。食料安全保障が非常に大きな課題になる。また、アメリカでは社会分断が大きく、持つ者はますます豊かになり、持たざる者はますます苦しくなっている。中国は「分断のない近代化」を目指す。機 会を与え、公平さを保つべきで、特権を持つ一部の人だけでなく、みんなが社会を楽しめるようにすべきだ。そして、政府は国民に安全な環境を提供できるように努力する。
中国の四つのイニシアチブ
安全保障イニシアチブ、経済発展イニシアチブ、グローバルガ バナンス イニシアチブ、そして文明イニシアチブ。これらは最初から長期的な計画として出発し、それぞれが二年おきに政策発表。
経済面での取り組み
ロボットや自動化が使える分野でコストを削減したいと考えている。生産を効率的に行うために、十分に安い電気の供給に努め、工場も物流も自動化している。つまり、注文を受けてから納品、そしてアフターサービスに至るまでの自動化だ。ロボットそのものの開発も推進している。
新しい技術を開発したいと思っているし、それを他国企業と共有する姿勢もある。これが「一帯一路構想」につながっている。雇用があれば所得が生まれ、地域経済が成長する。そして国際経済も一緒に成長していく。パイが大きくなるのだ。中国は「技術を共有し、一緒に開発していこう(共同事業)」という各国にとって魅力的な提案をしている。(アメリカの企業は共同開発はしない。)知的財産の所有に参加するだけでなく、その利益も共有できるようにするという政策なのだ。
中国は、各国との関係をしっかり築き、結びつきを強めるこうしたやり方が、相手国の経済成長を助ける良い方法だと考えている。中 国の言葉を借りれば、「潮が満ちれば、すべての船が浮かぶ」という考え方がこれだ。
中国は帝国の誘惑に抗えるのか?(*英米の辿った世界征服の誘惑に負けない?)
中国政府のかなり上の立場にいる人たちは、いわゆる古典的な教育を受けていて、詩人のことも、文学も、歴史もよく知っている。彼らは「党学校」と呼ばれるところに、定期的に通って、そこで毎年、必修の講座を受けなければならない。
彼らは中国の歴史を学び、そして単に知っているだけでなく、歴史が持つ力を深く理解している。特に上のレベルに行けば行くほど、その意識は強くなっている。そして彼らは、それを未来への指針として使っている。実際に歴史を学び、そこから教訓を得ていれば、同じ過ちを繰り返す可能性は低くなる。それを教え続けようとする限り、またそれが世界を理解するうえでの中心にある限り、「帝国の誘惑」に抗い、うまくやっていけるだろう。
また、他の帝国と違い、中国はイデオロギーを押しつけない。「私たちのやり方を真似しろ」などとは言わない。むしろ、「もし私たちの発展の仕方の中に、あなたの国でも役立つものがあると思うなら、どうぞ自由に取り入れてください」と言う。「それについて、私たちは知的財産の権利を主張しているわけではありません。必要なことをやってください。」
主権に対する考え方
「どの国も、文化や歴史、人々、言語が入り混じった複雑なモザイクだから、それぞれが自分の道を歩むべきだ」と考えている。型にはめるようなやり方ではない。ひとつのやり方がすべてに当てはまるわけじゃないと考えているから、自分のイデオロギーを他人に押しつけようとはしない。従って、戦艦を送り込んで相手を叩きのめし、「正しいことをさせる」理由もない。
中国の体制
今のところ官僚の専門職層が上層部の指導者へとつながる仕組みになっている。そうした仕組みは非常に注意深く監視する必要があると思うが、中国には、平均して見れば、他の多くの国よりも「国民に奉仕しよう」という意識を持った、より優れた人材を生み出す仕組みがある。上層部の指導者は、その地位にたどり着くまでに、何度も何度も厳しい試練をくぐり抜けてきていて、中国という国がどう動いているのか、制度がどう機能しているのか、官僚機構の限界や利点がどこにあるのか、そういったことをすべて理解していることになる。
しかも、中国の体制は多くの人が思っているのとは違って、習近平が将 来の権力者をすべて指名するというわけではない。あくまで集団で意思決定を行う仕組みなのだ。彼らは、歴史をしっかり踏まえた考え方をする傾向があり、良い未来というのは、対立や衝突を伴うものではないと、強く確信している。
他の国々が引き起こしている世界の混乱をどう見ているのか
中国はそれを見て、「自分たちのほうが優れている」とは思わないだろう。優越感を出すことこそいちばんの弱点だ。本当に自信のある人は偉ぶる必要がない。中国の人たちは、物事への向き合い方において、長期的な視点を持っていると思う。未来はどうなるか分からないが、確実に言えるのは、これからも変化が続くということだ。そうした変化が起きたときには、それに対応できるだけの柔軟な仕組みを持っていなければならない。中国は、世界経済の動きや、社会政治の方向性に合わせて対応していると思う。
産業革命に匹敵する変化の時期への対応は?
中国はその点、とても先を見ていると思う。口には出さないが、将来チャンスが生まれる分野に、より多くの投資をして、人材を振り向けている。大学卒業生を増やすだけでなく、教育プログラムそのものを見直して、卒業したときに現実の仕事としっかり結びつくようにしている。つまり政府は、安全を守るだけじゃなく、人々が社会の生産的な一員として活躍できるように準備する責任もある。人を単に入れ替え可能な存在として扱うのではなく、その人の興味や能力に合った分野で、充実した人生を送れるようにすることが大事だ。単に収入が増えるっていうことじゃなくて、仕事に行って、自分の やっていることに価値を感じる。そして周りの人もその価値を認めてくれる。その価値が報酬という形で自分に返ってくる。だから、国民や将来のために柔軟に対応できる政府っていうのは、「帝国の誘惑」に抗うことができ、うまくやっていけると思う。
♣人工ダイヤ、中国・柘城県が最大級の生産拠点に 世界シェア63%の背景
(36KrJaan 2026/7/4)https://36kr.jp/498543/
(…)「ラボグロウンダイヤ」とも呼ばれる人工ダイヤは模造品ではなく、化学成分や物理的性質は天然ダイヤと同じで、違いは生成過程にある。河南省力量鉆石は2025年9月、156.47カラットの人工単結晶原石を発表。国際宝石学会(IGI)の認証を受け、世界最大の単結晶人工ダイヤの記録を更新した。(…)
♣ASML依存脱却への筋道:中国Prinanoがナノインプリントで光チップ量産に成功、コストは10分の1にhttps://www.studioglobal.ai/ja/discover/answers/what-recent-breakthrough-did-chinese-startup-prinano-6a27ed59b91a73d539cc4472
2026年6月5日、中国の璞璘科技(Prinano)は、真空圧式ナノインプリントリソグラフィ(NIL)を用いた8インチ光チップウエハーの量産技術を確立したと発表。